第8章 止まらない刺激
自分で歩くと言ったが、八千代は聞く耳を持たなかった
鈴音を横抱きにして廊下を進む
「八千代さん下ろして下さい」
「いいからおとなしくしてろ」
そんなやり取りを何度か繰り返し、先に諦めたのは鈴音だった
途中、何人かとすれ違ったが皆嬉しそうな笑みを見せると頭を下げて鈴音たちを見送った
は、恥ずかしい…
照れた鈴音は顔を隠す事も許されず、目的の部屋へ到着する
八千代の部屋からは少し離れた場所にあるそこは、いつも皆が食事を取る部屋のようだ
今は少し時間が遅いせいか、他に人はいない
部屋に座らされると八千代は声を上げた
「桜、帳いるか?」
さくら…ちょう?
誰が来るのだろと鈴音がドキドキしていると襖が開けられる
そこにいたのは鈴音よりわずかに年下に見える女の子と男の子だった
「お呼びでしょうか、八千代様」
「あぁ。飯の用意を」
簡単に指示を出すと、二人は頭を下げて直ぐに去る
鈴音は八千代の袖を引くと興奮ぎみに尋ねた
「八千代さん、八千代さん!女の子です!」
「ん?あぁ、桜か」
「可愛い子でしたね!この村で初めて女の子を見ました」
「そうかもな。出迎えたのは男ばかりだったからな」
女が少ないとは聞いていたが、会えた事に鈴音は嬉しくなっていた