第8章 冷静なリーダーと嬌艶な夜
「ホールさん ティナが…」
フィルがそう言い終える前に俺は個室へ入り
テーブルの上にあった招待状を取り
素早くポケットにしまった
外にいるオリヴァー、エリオット
情報処理をしてくれているフィルとは
小型のインカムで連携をとっている
そしてティナにはこっそり盗聴器を仕込んである
ティナに危害が及ぶなら
すぐに助けに行けるように
これもインカムから聞き取れる
けれども、厄介な事に個室内は
セキュリティが張り巡らされており
ティナの盗聴器が俺のインカムには聞こえない
情報処理をしているフィルにのみ聞こえる
だからティナが個室に入った後
フィルからティナが拾った音を
伝えてもらっている
ベッドルームに入るとティナと目が合う
…当たり前だよ
絶対にティナを助けるから
もう少しだけ待っててね
ターゲットを気絶させて
恐怖に怯えて動けないティナを姫抱きにする
こんなに震えているじゃないか…
踊り子として接触するように
仕事を振り分けたのは俺だけど
こんな事になってしまった自分を恨む
レンには強く言われた
『909にいる時はそういう任務は誘惑までで
その先はさせなかったので、僕が。
だから絶対に守ってください』
いかに大切にされているかがわかるな…
涙目、上目遣い、弱弱しく掠れた声で
「ありがとうございます…」
と礼を述べるティナを見て
衝動的に貪るようなキスがしたくなった
でも… 駄目だ
俺までティナを怖がらせてしまう
だから強く抱き締めて
ティナの柔らかい髪にキスをした
視界にティナのイヤーカフが映りこむ
これを付けているもう1人の人物はレン…
どれだけ俺が頑張っても
ティナの隣にはレンがいるんだねきっと…
…俺にも守らせてよ君を…
車に乗り込んで音量を大にして音楽を掛けてもらう
オリヴァーはさっきから
俺の様子がおかしいと気がついているが
少しは察してくれたんだろう
ティナはまだと声を抑えて泣いている
俺の責任だ…
レンに合わせる顔がないな…
lexxに到着する
「報告書は全部フィルが作ってくれるから
2人はもう帰っても大丈夫だよ
ご苦労だったね」
オリヴァーとエリオットにそう言い残して
すぐに車をでる
もちろんティナを姫抱きにして
ティナの衣装は踊り子のままだ