第5章 可愛げのあるドジと海上オークション
「私すら知らない事を…
私を捕まえてどうするんですかね」
「ティナは本当に何も知らないんですか〜?
合言葉とか、大切な物とか心当たりは〜?」
心当たり…? 全くない
合言葉…? うーん…
民と交わす言葉はあるけどそれは違う気が…
大切な物…
「イヤーカフ…
ティナ!そのイヤーカフはどうです〜!?」
何か思いついたようにエリオットが言った
「あぁ〜
そう言えば肌身離さずずっと付けてますね」
ターゲットの顔色が変わる
「ちなみにもう片方はどこに?」
「レンも肌身離さず片方のイヤーカフを…」
「「それだ!/です〜!」」
2人とも急に大声…
「ティナとレンのイヤーカフが多分
〝森羅万象の文明〟の扉を開けるカギです〜!」
「それに違いない!
それに似たようなアクセサリーも試してみたが
怪しい光を放って何もなしだったぞ!!」
「えっ…?
いやでも、私本当に何も知らないんですよ…
母上…
…お母さんに大切にしてって言われて
…っ!ああ!そうか!!」
父上と母上はそれを分かっていて
私にイヤーカフだけを託して逃がさしたんだ…!
「ティナ… そのイヤーカフだけは絶対に守るんだ
あと、レンにもそう言って
じゃなきゃ、扉が開けられて
世界の秩序が崩れてZI7が…」
考えただけで恐ろしい…
ZI7なんかに〝森羅万象の文明〟を
開けられてたまるか…!
「絶対に肌身離さず守って欲しい
海に捨てたりしても
ZI7なら…
海底に落ちているのを見つけて拾いそうだ…」
レンを守る…
今までもずっとそうしてきた
これからも必ず…!
「…話はそれで終わりですか〜?」
カラン…
お酒の中の氷が溶ける
最初に運ばれたお酒は誰も口を付けていない
誰も酔っていない…
そして今話された事が全部真実である事…
「核心な事はこのくらいだろう…
他に何かあれば答えるが」
「オークションに匿名出品したのは貴方ですよね?」
「そうだよ…
ネックレスも、ルナも俺が出品した」
「怖がっていましたよね〜?何故ですー?」
「罪悪感が…こみ上げてきた
職人に尋問した事や
国の市民を監視下において尋問したからな…」
最低だ
私の国の民をそのように…
私に殺されたいのか