第5章 可愛げのあるドジと海上オークション
すると、エリオットの表情が変わる
そして背中をよしよしとさすってくれる
「ちなみにこちらの少女の出品者は
昨日と同じ人物が
匿名として出品されております!」
やっぱり…!
「つまりターゲットですね〜
またとない機会ですから急いで見つ…」
「…っ500万コナー!!!!!!」
「!?ティナ!?何してるんです!?」
私は今まで1度も挙げなかった札を挙げて
その少女を落札する気でいた
「ティナ!!ティナ!!!!
落ち着いてください!!
僕達は仕事の為にここに来て〜…
だから私情で落札なんてしちゃ〜…」
取り乱す私を
エリオットが必死に抑えようとする
でも… でも!
やっと出会えんだ
私とレン以外にも生きていたんだ…!
「7000万コナー」
隣に座っている男性が札を挙げた
お客さんが競っていた金額と桁違いだ
終わった…
すると、その男性がこちらを振り向く
なんだ… 見せつけたいのか…
「貴方とは初対面ですが…
貴方のその必死さに私は心打たれたのですよ。」
何を言っているんだこの紳士は
「あの… それはどういう…?」
「貴方の隣でこのオークションを見ていました。
私も同様に商品に興味はありませんでした。
しかし、貴方の先程の落札をみて…
それまで無欲だったのに…
何かあると思いまして、私が落札致しました。
もちろん、少女はペットなどではなく
普通に人間として私の屋敷で暮らしてもらいます。
だから安心してください。若旦那。」
最後はニコっと笑った紳士…
つまり必死に落札する私を見て
他の人にひどい扱いを受けるくらいなら
高値で買い取ろうという事が…
世の中いい人もいるもんだな…
「すみません…。迷惑でしたよね。
でもありがとうございます。
少女とは一応面識ある者でして…」
「やはりそうでしたか…
でも安心してください。
私の屋敷で、妻と少女と3人で暮らします。
子供は成長して家を出ましたからね。
賑やかになりそうです。」
本当にこの紳士はいい人すぎる…
7000万コナーで落札されてたけど…
大理石の屋敷一帯買えそうだな…
「ティナ」
エリオットが私の腕を掴み寄せる
「昨日のターゲットを見つけましたよ
やはり恐怖の表情です
今日は必ず接触しますよ〜…」
そうだった…
今日こそは捕まえる