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突然ですが、これから貴女は諜報員です。

第3章 俺様の自信家と暗殺


ガトリングはずっと私を追ってくる
こちらからも応戦したいが
流石に持っている銃だとこの距離は届かない

曲がり角を利用して逃れる事も出来るが
それで標的がオリヴァーさんに変わってしまったら元も子もない
私だけが狙われるように逃げ続けた

全身びしょびしょに濡れたスーツは少し動きづらい
それでも尚走り続ける

お願いだ… 早く私もヘリに…


すると後方からこちらに近づくヘリの音が…
恐らくオリヴァーさんはもう乗っている
早く私も乗り込まなければ

角を曲がり少しだけ開けた道を走る
後ろからヘリがきて私の前方にくる


「ティナ!早く乗り込め!!」


オリヴァーさんがヘリのドアを開けて
中からこちらに手を差出している

その手さえ掴めればーー

早く乗り込まなければーー

少し開けた道の長さはそう長くはない
ガトリングはずっと私を狙ってくる


「あと少…し…」


歯を食いしばる、精一杯手を伸ばす
いつもならひょいと乗れるが
雨を吸いすぎたスーツが邪魔だ


その時ーー

オリヴァーさんは私の手を強く掴んだ
そのまま私の身体を寄せて抱きかかえて
ヘリ内に入れてくれた


「ティナ、乗ったね。
高度を上げてここから逃げるよ。」


聞き覚えのある声が操縦席から聞こえる
オリヴァーさんがドアを閉めて
ヘリはみるみると上昇する
ガトリングは相変わらず狙ってくるが
こちらの操縦の方が上手なのがわかる


「っはぁ、はぁ、はぁ…」


乱れる呼吸を整える
オリヴァーさんはまだ私を抱きかかえたままだ
ずっしりと重たいスーツの上着を脱がしてくれた
彼も既に脱いでいた
お互いがシャツだけになり密着してるから
オリヴァーさんの体温が直に伝わる


「ティナよくやったな…!」


オリヴァーさんから至近距離の笑顔
うわぁ… イケメンは罪深い…


「ティナもオリヴァーも仕事お疲れさま。
2人ならすぐにやってくれると思っていたよ。」


「ホールさん… ありがとうございます。」


なんと操縦席に座っているのはリーダーのホールさんだ
ホールさんそんなに操縦上手いなんて知らなかった…


「ホールはココに配属される前は
海陸追跡班のトップだったから流石だな…」


「昔の事はいいんだ。今は衰えたからね
今日も絶好調ではなかったからね」


今日のあの操縦技術で衰えているなんて信じられない
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