第13章 Party Next
インカムから誰かが息をのむ音が聴こえた
観ないで… 早く逃げて…
それでもお構いなしに
ホールさんの唇に触れる
舌でこじ開けようとするも上手くいかない
…やっとの事で歯の部分へ到達する
望んでもないいやらしい音が
頭の中で響く
唇が触れる直前に
私とホールさんのマイクは切っておいたから
他の3人のインカムから
この音が聴こえる事はないだろう…
歯もこじ開けて、素早く苦薬を
ホールさんの口の中に入れる
そっと唇を離して呼吸を整える
「…はぁっ、はぁ… ホールさん…?」
ホールさんは目を覚ましてくれない
嘘だ… そんなはずは…
あ…!
ホールさんは自分の意思で苦薬を噛めない…!
ということは私が噛んでからじゃないと…!
再びホールさんの唇に触れる
ホールさんの口の中に自分の舌を入れ
先程入れたばかりの苦薬を探す
さっきよりもより激しく
いやらしい音がこだまする
何故か自分の方が意識を失いそうになる
力が抜けていく気がする
それでも
ホールさんが目を覚ます事だけを考えて…
あった…!
苦薬をもう1度自分の口の中に入れ
噛んでから、再びホールさんの口の中へと入れる
さっきよりも、かなり唾液が含まれていて…
ここで目を覚まされても困るかもしれない…
全ての苦薬を入れ終えた所で
ゆっくりと唇を離す
「…はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
先程よりも、より荒い息
そして、クラクラしてしまう
すると、離れる途中でホールさんが目を覚ます
かなりの至近距離だから
ホールさんの長いまつ毛が
ゆっくりと動くのをハッキリと確認できた
鼻と鼻が触れ合いそうな距離
「…! ホールさん…!」
「ティナ…?」
やった! 意識を取り戻した…!
と、思った瞬間
気づいた時には、先程の唇の感触
背中にはホールさんの両腕
…抱きしめられている
慌てて離れようと試みるも
私自身もあまり力がなく
ホールさんの意思で再び濃厚なキスが始まる