第13章 Party Next
「ティナ〜!すごいです〜!
ホールさんは大丈夫ですか〜…?」
ガラス壁だから
私が中央に到達したことは
他3人もスグに理解できる
「ホールさん!しっかりしてください!
私の声聞こえますか!」
ぐったりとしているホールさんに
大きな声をかけても目を覚ましてくれない
護身用のナイフで
ホールさんを縛っている縄を切る…
ドカン!!!
咄嗟に大きな爆発音の方向を見る
…燃えている
「おい!ティナ大丈夫か!
ホールを抱えてでれそーか?!」
意識を失っている人間は
通常の体重の二倍になっている
…頑張ればいけるか
でも、ここで意識を取り戻し
調査偵察班リーダーを復活させた方が…
ここである解決策が思い浮かぶ
私は常に口の中に苦薬を忍び込ませている
何かあった時に、意識を失う前に
それを噛めば強烈な苦さで意識は失われない
この苦薬をホールさんの口の中に入れれば
目を覚ますだろう
という事は
…口移しで
ドカン!!!!!
再び爆発音が部屋内に響く
小さかった炎も徐々に大きくなっている
そして、思い出される幼き日々の記憶
屋敷が大きな炎で包まれ
国民を見捨てて1人だけ逃げたあの日
…助けなければ
「ティナ!よく聞いてください!
私とオリヴァーとエリオットは迷路を出て
ビル内の状況を見てきます
ティナ1人ですが
ホールさんを連れ出してください!」
ここにいてはホールさんも私も死んでしまう
他の3人も必死で入り口を探す
…熱くなる空気
ここが透明度の高いガラスでなければ…
「…ごめんなさいホールさん
許してください」
私は下を向いたままのホールさんの顔に
そっと両手を添えて、上を向かせる
綺麗な顔立ちを目の前にして…
ああ、しかも私
ファーストキスまだなのに…
少しずつ顔を近づけて
唇が触れそうな直前で目を瞑る
ホールさん… 本当にごめんなさい…