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突然ですが、これから貴女は諜報員です。

第11章 眠り姫の生き様



…絶対に忘れるなという戒めのように

何度も何度も私は同じシーンの夢を見る

これは変わる事の無い過去の出来事


ーーーーーー


ずっと平和に暮らせると思っていた

あの日までは…



聞こえるのは

国民の悲痛な叫び
激しく燃える炎の音


感じるのは

燃え盛る炎の熱さ



熱い… 熱い… 熱い…

屋敷が燃えていく…


父上と母上はひっきりなしに何かを話している
そこそこ勉強してきたつもりなのに
5歳の私には全く理解出来なかった


そして、一瞬悲しい顔をしたが
すぐに私と向き合って
父上と母上は燃える屋敷の中で
いつもと変わらない落ち着きを持って話し始める


「この国はもうじき消滅を迎える
ティナ、私のかわいい娘よーー
ここから逃げて私達の事は忘れるんだ」


「このイヤーカフは代々伝わるものなのよ
まだまだ小さいティナ…
お姉さんになったら似合うはずよ」


当時は理解が追いつかなたった

自分だけ逃げて
父上と母上を忘れるなんてできる訳が無い

反対をしようとしても
屋敷が崩れるのが先だった


「「逃げて…!」」


今までにないくらい力強く言われた
そう言われて私は必死に逃げた

あの時の父上と母上の顔が忘れられない…

そして、母上から渡されたイヤーカフを
大事に握りしめていた手の感触も
忘れられないものとなっている


1人で逃げる中
島全体が燃えているのが分かった
国民が悲鳴をあげているのに…

逃げることしかできない自分が嫌だった

海に飛びこんで、泳ぎ続ける
何処か… 違う国へ行こう…

レンのように、違う国に住もう…






いつの間にか朝になり
私自身が海岸に打ち上げられているのに気がつく

太陽の位置、方角、潮の引き加減
砂浜の性質から地形を考えると…

ルミデウス国ではない別の国で
レンの家族が住んでいる国ではないと判断する

頭の中で世界地図を広げる
国の位置は大体わかる
ここは大きな大陸の国だ…
歩いていけばレンいるの国へ行ける

何日かかるかわからないけど…


ここから私の1人放浪旅が始まる

イヤーカフをとりあえず両耳に付けようとしたが…

思いの外扱いにくくて
とりあえず左耳だけ付けた
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