第9章 非化学的に証明
各学部の成績1位の者は首席と名付けられる
大抵は最高学年がその称号を授けられる
でも俺とアステルは二年連続首席だ
まぁ、正直どうでもいいんだけど
そして怯えているイビルも
俺たちと同じように文明学の首席だ
「ねぇアステル〜
俺の研究手伝ってくれな〜い?」
「首席なんだから1人でできるだろ
大体、俺は歴学だ
ほら、イビルが手伝えばいいだろう」
「ええ!?僕、文明学なんですけど…」
そんな会話をしながら廊下を歩く
『何を考えているかわからない』
『自由奔放すぎる』
そんな事を散々言われて
友達という友達はいなかった
でもこの2人とは一緒にいたい
『自分が好きな事を貫き通してるのだろう
素晴らしい事だ 私も同じだ』
『僕はイビルの研究熱心な所好きですよ!
自由奔放でもいいじゃないですか
それがイビルですよ』
こんな事言われたのは2人が初めてだった
「じゃあ、2人とも手伝って〜
今日は体温を自在に変化できるの作るよ〜
最高体温は50℃目安で〜」
「そんなの作ってどうするんですか…」
「気に入らない奴に飲ませる」
「クロス、その荷物を持ってあげよう」
「あっ!ずるいです!アステル抜け駆け!
僕も荷物持ちます!」
「あ〜 もう無いから〜
じゃあカフェテラス行こうか〜
俺が先に行ってドリンク頼んどくね3人分〜」
「あああ!待ってくださいクロス!
お願いです!僕に毒盛らないでください!
ちょっ、足速っ!」
俺が先頭
後ろにイビル
最後にアステルがのんびり歩いている
…こんな日常が続けばいいなぁ〜
ーーー
「うぅ… 2人が居なくなるなんて…」
「俺らはイビルがここに入学する前の1年間
1度も泣いたことないよ
悲しくなかったからね〜」
「そういう問題じゃないだろクロス」
卒業式
俺は進路が決まっているが
アステルは面白い事に決めていない
「僕も2人と同級生が良かった…」
「それなら過去に戻って
ご両親にもう5ヵ月早く
交尾をしてもらえるように
頼んでみるといい」
「真顔でそんな事言わないでくださいアステル…
なんか気分変わりました…」
イビルは泣き止んだ