第9章 屋烏之愛【オクウーノーアイ】
俺は己の両手と舌を駆使して、の全身に触れた。
傷が残る場所も、無い場所も、全て俺の物だと言う証を刻み込みたいと思ったのだ。
の身体を反転させ、背中にも臀部にも……
また反転させ胸にも臍にも……俺の手と舌は隙間無く這い回った。
そして当然の如く、其所へ辿り着く。
やんわりとの膝を押し開けば露になった秘部はしっとりと湿っており、俺は誘われる様に唇を寄せた。
舌で秘裂を割り、くちゅくちゅと唾液を絡ませて舐め上げる。
僅かではあったが、それでもの中から愛液が漏れ出せば、身体が正常に反応しているのだと喜ばしく思った。
そんな感情に支配され夢中での股間に顔を埋める俺の耳に、『ひっ…ひっ…』と引き付けを起こした様な呼吸音が届く。
ふと視線を上げて見れば、は両手で自分の口を塞ぎ、ぼろぼろと大粒の涙を零していた。
「っ……」
初めて見せるの涙に、俺は有り得ない程に動揺した。
慌てて身体を起こし、の両肩を掴んで抱き起こす。
「耐えられなければ俺を蹴り飛ばせば良いと言ったであろうが!
何故そんな……」
自分勝手に進んでおきながら、を責める様な言葉を吐く己が酷く醜いと思った。
だがは、涙を零し続けながら俺の腕の中で大きく横に首を振る。
「……嫌…では無いのか?」
頷く。
では……何故?
他人の心の機微を読み取る能力に長けた秀吉の事が、今はどんな物よりも羨ましい。
俺はを悦ばせたいだけだ。
それだけだ………それだけなのに……
何故、涙を流す…?