第7章 熱願冷諦【ネツガンレイテイ】
「なあ……あんたと十参號って、ずっとそうやって一緒に寝てんの?」
「褥を共にする様になったのは、此所最近であるが。」
「ふーーーん…」
男は不思議そうに首を傾げる。
「……それがどうした?
言っておくが、俺とが身体を繋いだ事は一度も無い。」
男は心外だとばかりに笑いながら胸の前で手を振った。
「いやいや……
それを咎めようとか、そーゆー事じゃ無いから。
唯……そんな風に眠る十参號って初めて見るなーって思って。
大体さ…いくら眠ってたって僅かでも物音がすりゃ普通飛び起きるぜ、
忍びなんだから。
それが俺達がこんなに声を出し合ってても起きないなんてさ……。」
言われてみればその通りだ。
が『三ツ者』であったならば幾らそれを忘れたとしても、長年の間に身体に沁み着いた習性は匆々失われはしないであろう。
も俺と同様、生まれて初めて心安まる場所を見つけた……と言う事か?