第6章 独弦哀歌【ドクゲンアイカ】
捕らえられた奴が酷え扱いを受けるのを黙って見てるんだ。
そいつが何か喋っちまわねーか、信玄様や俺達に敵の手が伸びる様な事にならねーか、それだけを見届ける。
まあ、先ず逃げ延びて来る奴は居ないね。
それに喋っちまう奴も居ない。
な、凄えだろ…『三ツ者』は。
大抵はもう手に負えねえと始末されて終いだ。
で、そいつが命を落とした所まで見届けたら……はい、俺達も終い。
お……段々話が見えて来た?
じゃあー、次。
えーと…あんた達に壊滅させられた武田家なんだけど、今は再興に向けて発奮頻りだ。
それはあんた達も薄々勘付いてるだろ?
だけどやっぱり武田家に再興されちゃ困るって輩も多くてねー。
俺達『三ツ者』も大忙しな訳。
しかもあんた達みたいに真正面から向かって来てくれりゃ俺達の出番は殆ど無い。
結果、俺達が相手にするのってとことん質が悪い連中なんだよ。
そこでだ………うん、もう分かんだろ?
そう、十参號が其奴らに捕まっちまったのさ。
俺がさっきした話、ちゃんと覚えてる?
じゃあ、俺達がどうしたか……言う迄も無いよね。