第4章 天真流露【テンシンリュウロ】
「おいっ……こら、…戻れ!」
次にはを追って、動揺した様子の秀吉までもが天主に乗り込んで来た。
「これは一体何事だ、秀吉?」
「はっ……あの、が突然部屋を飛び出して
城内を彷徨き始めたもので……
恐らく信長様を探していたのではないかと。」
「……俺を?」
「はい。
どうやらは雷が怖い様です。
だから…最初に自分を救ってくれた信長様の側に居れば
安心だと考えたのではないでしょうか。」
困り顔をしながらも、を見つめる秀吉の目には慈愛が溢れている。
秀吉とそんな遣り取りを交わしていると、はもぞもぞと俺の褥に潜り込み始めた。
「あっ……止めないか、!
こらっ……失礼だぞ!」
慌ててを制しようとする秀吉の手を、俺はやんわりと退けた。
「………構わん。」
「え……?」
「の好きにさせてやれ。」
「いや、それは……」
「俺が構わんと言っているのだ。
何の不都合が在る?
はこのまま此処で眠らせる。
貴様はもう退がれ。
邪魔だ。」