第3章 刺激を求めて
勝手に空き教室を使って怒られるかもしれないと思ったが、宇菜も少し特別な気分を味わっていた
廊下から見えない角度にある机を挟み、二人は向かい合って座る
「僕もこの学校に通えたら、こうやって宇菜ちゃんとお昼食べれるんだね」
「う…嬉しいけど、注目浴びそうだね」
大和と学校でランチなんて夢のようだ
本当に来年、大和が入学してきたら人目を忍んでこうして会うのかもしれない
「楽しみだな。じゃ、いただきまーす」
二人のお弁当は全く同じ
明子が用意したものだ
つまり大和は最初からこうして学校に来る気満々だったのだ
「うん、美味しいね」
大和の笑顔に癒される
先ほど廊下で見た少し怖い大和は完全に消えていた
お弁当は大和の好みのものばかり詰められている
明子も大和には甘いらしい
綺麗で可愛い大和を見つめる
うん、甘やかす気持ち…わかるなぁ
宇菜は心の中で一人頷いていた