第3章 刺激を求めて
「宇菜ちゃん…好き、大好き」
ぎゅっと抱き締められる
大和の不安を取り除いてあげたくて、宇菜も大和の背中に腕を回す
「大和くん…。私も大和くんの事、好きだよ。それから…本当はさっき、やきもち焼いてた…」
「ほ、ほんと!?」
大和は宇菜の肩を掴んで体を離すとパァっと笑顔を見せる
「嘘なわけないよ。私、大和くん意外興味ないもん…」
「宇菜ちゃん…僕、すっごい嬉しいよ」
大和は手を繋ぐと再び廊下を歩き出す
鼻歌まで飛び出し、どうやらすっかりご機嫌らしい
機嫌が良くなったのは良いことだが
大和が何を考えているのかわからなかった
手を引かれる様に歩き続け、宇菜はあっと声を漏らす
「何、宇菜ちゃん?」
大和もピタリと止まると宇菜を振り返る
「中庭はあっちだよ。この廊下を進んでも外には出れないんだ」
つい引かれるまま歩いてしまったが、大和は中庭の位置を把握していない
そう思ったのだが…
「うん。知ってるよ。中庭には行かない」
満面の笑みで大和はそう言ったのだ