第3章 刺激を求めて
ーーー……
「そろそろお昼にしていいわよ。宇菜さん、従兄弟さんと中庭にでも行ってきたらどうかしら?」
山田さんの提案に宇菜はうろたえる
まだ皆作業中なのだ
「でも…」
「本当に?じゃぁ行こう宇菜ちゃん!」
どこから現れたのか、大和が嬉しそうな笑顔を見せる
久々に大和から笑顔を向けられたような気分だ
作業を始めて三時間
宇菜は一人で黙々と作業をしていた
「大和くん…」
「僕お腹ペコペコだよ。お言葉に甘えてさ、行こう!」
大和に手を取られ、皆が見送る中二人は教室を後にした
廊下に生徒はいない
離れたグラウンドから部活中の生徒の声が聞こえるくらいだった
なんだか宇菜は気まずくてそわそわしてしまう
だが、大和はそんな宇菜を見抜いていたようで…
「宇菜ちゃん、怒ってる?」
「えっ?」
弾かれたように顔を上げる
大和に耳が付いていたら盛大に垂れていただろう
またしても捨てられた子犬のような瞳をしている
「な、何を怒るっていうの。別に私は…」
「怒ってない…の?ふぅん。僕が他の女の人と仲良くしててもいいんだ?」