第1章 帰って来た従兄弟
自分の部屋に戻ると首を傾げる
大和はもっとなついてくれていたイメージだったが、変わってしまったのだろうか
とはいえ、大和はもう十五才
宇菜より一つ年下だが、思春期というやつだろう
「帰って来たってことは、隣の家だよね。ってことは、これからも関わりがあるだろうし。また少しずつ距離を詰めていけばいいかな」
着替えて髪を整えると、顔を洗ってから再びリビングへと向かう
まだ朝だと思っていたが、もうすぐお昼時だ
明子は大和たちが帰ってくるのを知っていたようで、テーブルには豪華な食事が並んでいた
「それでね、オーストラリアではラグビーが盛んだから大和にもやらせようと思ったんだけど、本人は全くその気が無くてねぇ」
「まぁ、そればっかりはしょうがないわね」
葉子と明子の話を聞きながら宇菜は大和を見る
少し大人っぽくなったが、まだまだ可愛らしい
そんな事を本人に言ったら気分を害するかもしれないので言えないが
相変わらず肌は白く、透き通るようだ
それはそれは羨ましいくらいに
よく喋る明子たちと違い、大和が口を開くことはなかった
やっぱり難しい年頃なのだろう