第1章 帰って来た従兄弟
またしても目を反らしそうになるのをぐっとこらえる
だが、今の気持ちをどう言葉にしていいかわからなかった
「…宇菜ちゃん?」
「あっ、えっと。大和くんの事はすごいカッコよくて…素敵だなって思うよ」
「本当?じゃぁ好き?」
「えっ!?あ、あのね。私、大和くんってずっと弟みたいなものだと思ってたから。久しぶりに会って成長してて、まだ頭が混乱してるっていうか…」
大和はカッコよくてドキドキするし、キスされて嬉しいと感じてしまう
だが、それを好きと認識するのは早いのではないか?
宇菜は本当に混乱していた
「…弟って。それこそ昔の話だよ」
「そ、そうかもしれないんだけど。でも…」
「わかった!」
言葉の続きを遮られる
何がわかったのか、確認するのが怖かった
大和の目がやけに輝いていたからだ
「や、大和くん?」
「僕が男だって、ちゃんと証明してあげる」
えっ?と思った時には押し倒されていた
ソファに体が沈む
「大和くん…あ、あの…」
「ここじゃ嫌?」
首を傾げる大和
この状況、さすがに恋愛に疎い宇菜でも察しがついた
まずい、まずい!
脳内では警笛がうるさく鳴り響く
しかし体は固まってしまったかのように動けなかった