第1章 帰って来た従兄弟
朝食を終えたらすぐに部屋に戻ろう
そう考えながらサラダを頬張っていると
「宇菜、お母さん急に仕事が入ったから。もう出るわね」
カバンを肩にかけた明子がリビングを出ていく
驚いた宇菜は慌てて玄関まで明子追うと
「なんかパートが二人もインフルエンザにかかっちゃったみたいで。しばらく出勤できないみたいなのよ」
「そんな…」
まだリビングでは大和が食事をしていて、正直気まずい
だが、当然明子はそんな宇菜の気持ちは知らず
「いい?ちゃんと大和くんと仲良くするのよ。お昼は何か作るか外に食べに行ってちょうだい」
「お母さ…」
明子は急いでいるらしく宇菜の返事を待たずして出ていってしまった
ど、どうしよう…
呆然としていると不意に声がかかる
「へぇ。今日は二人きりか」
思わず体がビクリと跳ねてしまう
恐る恐る振り向けばそこには大和がいた
「や、大和くん…?」
「宇菜ちゃんと二人きりなんて嬉しいな。ね、宇菜ちゃんもそうだよね?」
とびっきりの笑顔を見せられ宇菜は胸が苦しくなるのを感じた
「宇菜ちゃん。一緒にテレビでも見ようよ」
手を引かれ、宇菜はリビングに戻る
朝食が途中だったが、緊張して食欲が無くなっていた
ソファに座らされると大和も横へ座る
三人がけだが、二人は密着していた
近い、と言ったらまた拗ねるだろうか