第1章 帰って来た従兄弟
キスがどんなものかよくわからない
触れて終わりだと思っていたが、大和は執拗に宇菜の唇を求めた
息が苦しくなり逃げ出そうとするも大和の腕がそれを許さなかった
角度を変えるわずかな隙間から酸素を取り込みながら必死に抵抗する
「ん…っ!!」
大和を叩くがびくともしない
それどころかキスが深くなっていく
「宇菜ちゃん、舌出して」
不意に囁かれ息が混じる
意味がわからずにいると、舌を絡め取られていた
「……っ!?」
「宇菜ちゃん…」
「や…あっ…」
舌が絡まる度にくちゃっと水音が響く
口の端からこぼれた唾液はもうどちらのものかわからないぐらい混ざっていた
抵抗する気力も無くなり、されるがままになる
それからしばらくして
ゆっくりと唇が離れる
「や…ま…くん」
「なぁに、宇菜ちゃん。そんな顔しないでよ。我慢できなくなる」
そんな顔、と言われても自分がどんな顔をしているのか確認しようがない
とろけてしまいそうな感覚に酔いしれ、座っている筈なのに倒れそうになる
「宇菜ちゃん」
そのまま抱きしめられ、宇菜は再び大和の腕の中にいた
振り返ってくれたら僕がどれだけ本気か教えてあげるーー
大和に言われたセリフが脳裏によみがえった
冗談ではない大人のキスだった
私…大和くんとキスを…!
宇菜はドキドキと鳴り響く胸の鼓動に耐えるのでいっぱいいっぱいだった