第6章 たまには我慢
嬉しくて宇菜は頬が緩むのを感じる
「宇菜ちゃん?」
「えっ、あ、あの…。思っていたより早く会えて嬉しいなぁって」
「ふふっ。それは僕も一緒だよ」
夏の暑さを感じさせない大和の爽やかな笑顔
宇菜はそんな大和の胸に飛び込んでいた
「わっ、宇菜ちゃんどうしたの?」
「大和くん…」
ぎゅーっと抱きしめると大和も抱きしめ返してくれる
それだけで宇菜は堪らなくなり、大和を見上げる
「…宇菜ちゃん?」
「あ、あのね…大和くん…」
不思議そうな顔をして首を傾げる大和
いつもならすぐにキスをしてくれるのだが、何故か今日はしてくれない
「や、大和くん…キス、して…」
ドキドキする胸を抑え、宇菜は目を閉じると
ちゅっ、と触れるだけのキスをされる
驚いて宇菜は目を見開いていた
「や、大和くん…?」
「なに?今のじゃ不満?」
終わり、と言わんばかりの口調に宇菜はもどかしくなる