第6章 たまには我慢
葉子に見送られ、宇菜は大和の家へと来ていた
この家に来るのは久しぶりだ
いつも大和から会いに来てくれるため、この家を訪ねる事は少ない
ガチャっと音を立ててリビングへと続くドアを開けると、そこには大和がいた
しかし、ソファにうつ伏せの状態でいるため表情は見えない
ドアの音がしたはずだが、大和は反応を見せることはなかった
葉子の話もあながち間違いではないのかもしれない
「大和くん…」
もしかしたら寝てるかも、と思いながら声をかけると大和はピクリと反応する
そしてゆっくり首を回して顔だけ宇菜へ向けた
「……宇菜ちゃん?」
「うん。ごめん、寝てた?ここで寝たら風邪引いちゃうよ」
「…別に。風邪なんてどうでもいいよ。それよりどうしたの」
少し拗ねたような声を出す大和
てっきり飛び付いてくるかと思ったのだが、少し違ったようだ
「大和くんに会いにきたの。時間は無いけど、ちょっとでも顔見れたらなぁって」
「僕に会いにきたの…?」
大和の目が少しだけ輝く