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あの子はいとこ【R18】

第1章 帰って来た従兄弟


食後、自分の部屋で春休みの課題をこなしていると大和が訪ねてくる


「大和くん?どうしたの」


「さっき電話があって明子さんが出かけちゃったんだ」



そういえば先ほどケータイの着信音が響いていた気もする


明子が夜に出かけるのは珍し事ではなかった



「宇菜ちゃん、勉強してたの?」


「うん、まぁ。ただの課題だよ」


「そう?じゃぁ続けて?」



大和はそう言うと宇菜の横を通りすぎ、部屋へと進入する



「…大和くん?」


「ん?あぁ、僕の事は気にしないで。この漫画とか読んでいいかな」


「いいけど。少女漫画だよ?」


「かまわないよ」



大和は本棚から適当に漫画を取り出すとベッドに横になって読み始める


どうやら静かにしていてくれるらしい



それなら、と宇菜は再び課題と向かい合った



静まり返った部屋に響くのは時計の針の音とペンを走らせる音だけ


それがしばらく続き、三十分程した頃宇菜はペンを置いた



「終わったぁ…」



ぐぅーっと伸びをして固まった体を解す


すると不意に耳元で声がした



「お疲れ様」



鼓膜を震わす甘い響きに宇菜は再び固まる


気がつけば大和が背後にいたのだ


背中が大和の胸に密着し、背後から伸ばされた両腕は机に置かれている


机と大和


見事に囲まれてしまっている状態だった



「ややや、大和くん!?」


「なに?また近いって怒るの?」


「そ、そうだよ!」



焦った宇菜とは対照的に、やはり大和は落ち着いていた


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