第1章 rain of caress
ナッシュは電話を終えると直後気持ちを切り替え、名無しを再び組み伏せながら彼女の頬にキスをした。
すぐに耳元をじっとりと舌が這い、その長い舌は首筋にも入念に伸びる。
切り替え・・・とは言っても、多少愚痴を零すあたりは、その言葉を比喩するにはどうにも不完全なのもよく分かる。
何度も思うように、確かにむかつきを覚えているいい証拠だろう。
どんな内容を話したかをゼロから説明するには億劫になる・・・ゆえに、名無しにも喋らせる辺りが特に、彼の機嫌の良し悪しを表していた。
「まあおまえが興味あるってんなら・・・買って使ってやらねえこともねえが・・不要だろう?何せ・・おまえが好きなのは」
「っ・・・ナッシュ・・、ナ・・!んん・・・」
「ん・・・はぁ・・・、ったく・・。とんだ水をさされちまったぜ・・・クソが。ヤる前に男の声なんざ聞きたかねえんだよ」
「ナ・・・、ふ・・・ん・・ッ・・あ・・・」
「なあ?だから名無し・・。・・・たっぷり舐めてやるから、おまえのそのいやらしい声・・・死ぬほど聞かせろ・・。いいな」
「ッ・・・・」
チームの性事情は、噂に聞く以上に乱れているらしい。
ナッシュがシルバーに問われていた内容に疑いを持った名無しは、そんな自分が恥ずかしく、また、らしくもないなと自らを卑下した。
彼ならありえるかもしれない・・・けれどありえない・・・両方の可能性を持ってしまっていたことが、何だか狡いと思えたのだ。
非道な性格を考えれば、そういう趣向を持っているなら既にナッシュは自分にその手段を用いていただろう。
成されていないということは、尊重されているから・・・都合のいい頭が都合よく解釈して、名無しはそのままナッシュがどう出るかをベッドで待った。