第1章 rain of caress
「クソが・・・かけて来んじゃねえよ・・・。――待たせたな。で・・・どうだ・・・。突っ込まれるよかマシだったろう・・・?それより、随分と上手くなったじゃねえか・・・ん?」
「ッ・・・・」
「ちゃんと声も。そこそこ抑えられてたしな・・・一体誰のを咥えて練習してたんだ?」
「!・・・っ・・誰のもしてな・・ッ・・・!!わ・・、ナ・・・ッ、んん・・」
「ちゅ―――・・。ああ知ってるよ・・・これからヤるかって時に電話が来りゃあ、そりゃイラつきもする・・聞こえてただろう・・・シルバーの声が」
携帯を置く様を見ていれば、ナッシュがどれだけいらついていたかがよく分かった。
それは別にびくびくすることではないけれど、彼がどんなにチームメイトに対し、それなりに信頼を寄せていても、棲み分けたい部分もあるのだろうなということが窺い知れる。
ナッシュの携帯を鳴らし、行為を中断させたのはシルバーだった。
名無しにもシルバーの声は聞こえており、彼が電話をかけてきたその意味を、聞こえた内容から紐解いてしまえばしまうほど、複雑な気持ちを抱かされる。
聞こえない方がまだよかった・・・そう思いたくもなるような、それは実にシルバーらしい下世話な内容だったのだ。
直接面識はなくとも、有名ゆえに、ナッシュの居るチームの評判は嫌でも噂として耳にしていたのだから・・。
「ん、・・・・少し。・・・探し・・もの・・?って、ナッシュが持って・・・?」
「フッ・・・はは・・!あぁ・・・オモチャのことな?あいつがよく会う女と好き好んで使ってるみてえだが・・・いざ今日もってところで、部屋に無かったらしい・・あのバカむしゃくしゃしやがって」
「・・・・・」
「電話に出るなり、持ち出したのはおまえか?だとよ・・・フッ、残念ながらオレは興味ねえよ。聞く相手をあいつが間違えただけだ」
「・・・・ッ・・」
「?なんだそのカオは。・・・ハッ・・、まさか疑ってるのか?」
「な・・・っ・・」