第1章 rain of caress
「あ・・、ぁ・・・ッ・・」
「っく・・・・、ん・・ッ・・・名無し・・」
ピストンを続け、名無しを見下ろしながら、彼女の悦に悶える卑猥な表情に奮い立たされる。
溺れまいと必死になり、それでも感じて声を漏らす艶やかな姿は、ナッシュにとって実に如何ともし難いものがあった。
吹いたことで快楽を抱きやすくなり、歓喜を覚えた名無しの子宮。
膣は何度もきゅっと締まり、それゆえナッシュの怒張は、溜まった体液を外に吐き出したそうに、彼女の体内で疼き始めていた。
「・・・き・・、・・ナッシュ・・・、好・・――!あ・・・ッ」
「・・・・―――っぐ・・、ぁ・・・ん・・ッ」
手は握り締めたまま、瞳は見つめ合ったまま。
名無しは言葉途切れさせつつ、その快感に夢中になったことに託けながら、そこで自身の本音を口にした。
きっとこんなもの・・・聞こえたうちには入らないだろう。
直感が頭の中に割り込んで、再び意識は、快楽のみを考えることに使う。
名無しの言葉はナッシュには届いていた。
が、自身も果てる為、脳裏で思うは絶頂欲しさのみ・・・。
腰を打ち付けながら甘く声音を漏らし、やがて陽物は律動を経て、その精液を名無しに注ぎ込んだ。
名無しが膣で果てた時の様に、はぁはぁと肩で呼吸をするナッシュは、彼女の精一杯の想いに応えることはなかった。
ただ、かわりにキスをすることで、その互いの口腔で自らの気持ちを咀嚼し、決して音に乗ることのない密やかな想いをそっと口含ませた。
名無しの目には、堪えたつもりでいた涙がひと筋流れるだけだった。
rain of caress