第1章 rain of caress
「!!あ・・、ッ・・・ん、・・ぁ・・・あ・・っ」
「――・・・散々感じて、人のベッドを濡らして・・・。その上自分から汚れに来る・・・まったくおまえは・・・フフ・・ッ」
「ひ・・・ぁ!・・、ナ・・ッ・・・・や、・・め・・、んん・・・!あ・・・」
「ハッ・・・挿れてくれっつったのはこの口だぜ・・・やめてやるものかよ」
「ッ・・・は・・ぁぁ・・、ん・・・ッあ・・」
最初に不本意に口に含まされてから二人がひとつになるまで、大した時間は経っていなかったように思う。
それでも彼女にとっては、セックスそのものがなんだかとても久しく見受けられ、挿入された途端、名無しはそれを度し難いほど嬉しく感じていた。
耳にした言葉は夢か現か・・・ナッシュの発言に名無しは目を見開いた。
けれどそれと同じ機に、彼は名無しの陰部に欲望を押し付けていた。
だから気持ちに浸る余裕などはこれっぽっちもなく、ただ下腹部に落とされた快感に身を悶えさせるしか道がなかったことを、名無しは少し口惜しく思った。
「あ・・・、・・ア・・ッ」
それでも、懇願したものが現実に起きていたことは紛れもない事実だ。
嬌声を漏らし、ナッシュが激しく腰を突いてくる度に蜜が溢れる。
髪を揺らして自らの上に覆うように、彼もまた、短く急いた息をしながら、怒張を最奥に摺りつける。
「・・・ッ・・ん・・・」
名無しは繋がれた悦びをせめて示そうと、ふと自らの手に力をこめた。
必死にナッシュの大きなそれめがけ伸ばし、甲に指を絡ませる。
指折られなくてもかまわない・・・今は自分が、彼の五指に身体同様密着し、存在を繋ぎたいと感じたのだ。
どんなに抽送されようとも、その手を離さずに・・・本音を零せないかわりに込めたせめてもの意思だった。