第1章 rain of caress
確かな言葉を紡げるほど、まだ中身は出来てはいない。
そんなときが訪れるのかも分からない。
けれど今、精一杯言わなければならないことは確実にあったから。
このまま焦らされれば、それはただの地獄にすぎないから。
名無しはナッシュに自身の願いをありのまま告げると、一度試す様に問い返してきた彼の言葉に、胸を抉られたような気持ちにさせられ、深く傷ついた。
彼の性格上それが冗談と分かっていても、一時的でも、拒まれたかのように感じ、初めて胸が痛んだ。
好きになってはいけない男に、そういう想いを自覚した瞬間だろう・・・。
名無しは挫けかけた心を持ち直し、それでも欲望のまま本心を続け連ねて、ナッシュ自身を心から懇願した。
勢いのままぶつけてしまった、互いの額はぴたりと密着し合ったまま。
そうやって言葉を重ね合ったのち、ナッシュは喉から嬉々満ちた笑い声を零すと、組み敷いていた身体は下半身に力を込めた。
一度目を閉じながら、開いた瞬間の彼のそれは、とても澄んだ緑色を帯びていた。
ナッシュが舌に乗せた言葉を名無しが受け取った瞬間、彼女の体躯を、ナッシュは自身を以って貫いた。