第1章 rain of caress
「!?・・・・ナッシュ・・」
「・・・・・」
するとナッシュは、また当然の如く名無しの胸の内を暴き、律動を続けながら意地悪い微笑を悠々と見せつけた。
そして名無しがしたように・・・ナッシュも自らの指を折りながら、彼女の細いそれにじっとりと五指を絡めさせた。
まるで求愛行為だ・・・名無しのそれに、ナッシュが応じた瞬間だった。
「フッ・・・。そら・・・たっぷり好い声で啼けたご褒美だ・・――存分に気持ち好くしてやるよ・・・名無し・・」
「!ナ・・・ッ・・、ひぁ・・、あ・・・!あ・・―――」
うるさく感じるほどベッドの軋みが部屋に響く。
けれどそれ以上に名無しの声が十分に反響する。
その甘い喘ぎを聞くたびに、ナッシュは当初、思わぬ邪魔が入ったゆえに不機嫌だった自分が、いつしか高揚と快感を覚え、彼女の肉襞の熱に侵されているのをじわりじわりと感じていた。
「ッ・・・・ナッシュ・・・だめ・・・、おかしく・・、!」
「なれよ・・・オレに見せてみろ・・・・オレだけに・・」
ナッシュしか知りえなかったことが、その寝具の上でひとつ・・・。
それは喜々の水を吹き、息を乱していた直後の名無しを、どうしようもなく欲してたまらなかった瞬間が彼にあったということ。
彼女の懇願があと一歩遅ければ、きっと今頃は赴くまま強引に、その快感に溺れた名無しをいつものように、我欲のままに抱いていたことだろう。
淫らな姿に感化され、唾を飲み込み、広い背筋を震わせられたのだ。
無理やりひとつになる前に名無しに哀願され、求められたことが、今この瞬間の、ナッシュの体裁と自尊心を保っていた。