第1章 rain of caress
「はぁ・・、はぁ・・・っハァ・・」
「・・・ハッ・・。・・・おまえ・・こんな――」
「!・・・・ちが・・、ッん・・・・」
いつになく湿っぽく感じる下半身。
膝を擦り合わせ、自分の内腿に触れたものに違和感を覚え、名無しはゆっくりと呼吸を戻す。
我を忘れ抱き付いていたナッシュの身体も火照ってはいた。
けれどまるでそれを冷ますかのように、絶頂を味わったというのに下肢はひんやりとした感触を帯びている。
名無しは自身に起きたことを理解するのに数秒を要した。
そして気付いて初めて、ナッシュに回していた腕を自ら離した。
ベッドの上で僅かに彼と距離を作ろうとしたけれど、勿論、それをナッシュが許すわけもなかった。
「・・ちゅ・・・―――何が違う・・・?なあ・・・よく見ろよ。垂れてやがるぜ・・オレの手からこんな・・」
「やめ・・・っ・・、私は・・、んんっ・・・」
ナッシュの傍から離れられなかった名無しは、彼に再び捕らわれてはその身を組み敷かれ、大きく足を開かされた。
巨体に華奢な身が屈服させられれば、逃れられる術などまずなかった。
いまだひくついている陰部の違和感、その部位があたるマットレス。
暗い灰色のシーツは彼女の体液を存分に吸っており、それが何を意味しているか・・・。
分かっていても認めることが恥ずかしくて、名無しはナッシュにうまく目を向けられずにいた。
「ん・・・・、ハァ・・。ん?・・・ワタシはなんだって?夢中になってイっちまって、もう満足かよ・・・」
「・・・ナッシュ・・、・・・ッ―――」
直後、無理やり合わせられたのは焼けるような視線。
加えて強請られたキス。
それにやむなくこたえ、二人の舌は激しく絡み合った。
指で達かされ、子宮が喜びを示し、その結果が形として、また体液として溢れ出てしまったことなど、羞恥以外に何と喩えようものか。
恥辱に塗れた表情を零す、そんな名無しを見下ろしながら、ナッシュは相当満足げに口元を迫り上げていた。