第9章 クリスマス
°˖✧✧˖°赤葦side°˖✧✧˖°
参考書を買うと言う木兎の付き添いで駅前の大きな本屋にやってきたはいいが
本を買うはずの木兎は本屋に着くや否やどこかに走り去ってしまった
京治は溜息を吐きながら先に3階の参考書が並んでいるコーナーに向かった
目当ての場所には参考書を一つ一つ手に取って確かめる女の子、顔にかかる長い金色の髪を耳にかける
可愛い・・・
思わずその横顔に見とれていたが、ある一冊の本を手に取り彼女に声をかけた
「それよりもこっちの方が分かりやすいですよ」
目の前に参考書が差し出すとびっくりした顔で振り返った
いきなり声をかけたためか無言で本と俺を交互にみつめる
そうだよな知らない奴に声かけられてびっくりするよな
自己紹介をすると名前を教えてくれた
受験生かと聞いてきた
付き添いできたことを簡単に説明し一緒に来た人物が行方不明だと言うと心配していたので
「大丈夫ですよ木兎さんは目立ちますから」
そう言って参考書をもう一度差出し微笑んだ
今度は受け取ってくれて中身を確認している
これにすると微笑んで名前を呼んでくれたが赤葦って言いにくいのか?
それならと「京治でいいです」と言うと京治君と呼んでお礼を言おうとしてくれた
でもその時に木兎さんの声が聞こえた
木兎
「あかーし!どこだー!!」
呼ばれて返事をするとがぶんぶんと手を振って走ってきた
先にいなくなったのは木兎の方だがそんなことはお構いなしだ
話していると今気が付いたのか山城を見て大きな声で叫んだ
そしてなぜだかナンパしていると決めつけて木兎は自分自慢を始めた
呆れ顔の山城を見て京治が静かにするように頼むも質問攻めする木兎
質問するだけして答えを一切聞かない木兎に
『煩いって言ってんのよ!?』
山城がついに怒ってしまった
木兎の質問にちゃんと答えてから叱りつけた
木兎
「ハイ、スンマセン・・・」
怒られてしょんぼりと項垂れ謝る木兎
女性に怒られてここまでへこむ木兎を見て必死に笑いを堪えていると
本棚の陰から笑いながら黒尾が現れた
驚いて名前を呼べば山城も同じように名前を、しかも「鉄朗」と呼んだ
山城さんは黒尾さんと知り合いなの?