第7章 失恋と得恋
°˖✧✧˖°黒尾side°˖✧✧˖°
山城に先に2階に行くように言ってからクロは台所に入るとお茶をコップに注ぎながら考える
確か今日も練習試合があったはずだ、なのに昼過ぎに急に「今から帰る」と山城から連絡が入った
部活を終えて急いで家に帰りシャワーを浴びて東京駅へと向かった
「山城ー」
改札から出てきた山城に思わず走り寄りギュッと抱きしめた
すると予想外に山城が抱きしめ返してきて固まった
Σえっえっ!?
いつもなら『やめてよね』とやんわり断っていた山城が縋る様にクロに抱き着く
「俺が恋しくなって早く帰ってきたのか」
冗談を言って抱きしめる腕に力を込めると
『少し離れてクロのありがたみが分かったのかもね』
そういってほほ笑む山城の瞳が赤い事に気づいた
目が赤い・・・もしかして泣いたのか?
「・・・あっちで何かあったのか?」
そう問いかけるとびくっと山城の体が震えた
『色々あったよ~』と無理に笑顔を作る山城
すぐにでも泣いた理由を聞きたかったがグッと堪えて
手を引き家に連れて帰ってきたのだった