第4章 04
少しずつ慣れてきた瞳を光の元に晒していく。
開き切った両の眼が捉えたものは蒼。
雲一つない青空は遮るもののないほどの晴天だった。
憎らしいほどの快晴である。
外の景色を認めたことで暑さが増したのはきっと気のせいではない。
暑い。景色に感動を覚える前に無言でタイマーが切れて静かに佇んでいるエアコンを起動させることから、私の一日は始まった。
夏季長期休暇、夏休みが始まってから夜更かしをしては昼頃に目覚める毎日を繰り返すようになった。
どうにも夜は暑さのせいで寝苦しく、素直にベッドへ潜り込んでもタイマーが切れたエアコンの効果が薄れていくに連れ暑さが現実へと引き戻しにやってくる。
朝方が一番涼しいので良く眠れる時間だとスマートフォンで得た情報に加え、自分の体験を元に深夜から朝にかけて眠りに就くような生活スタイルに変えた。
新学期になり学校生活を送る日々が戻ってきた時、しんどさを感じる時間のリズムであることは理解しているのだが、未来よりも今の自分の平和が何よりも優先するべき事柄だろう。
そうしてすっかり空が白んできた頃に夢へと旅立ち、エアコンが仕事を区切り暑さを増してくる昼頃に目を覚ますという、実に怠惰な夏休みを過ごしていた。
暑さに弱い私が快眠を守るために取った苦肉の策であるのだが、生活リズムをなぞれば一般的に怠惰としか表せない。
起動させて強風に設定した冷房が急速に室内を冷やしていく。
涼やかな風は人工的なものとはいえ気持ちが良い。
暑さの中で目を覚ました身体の火照りも早々に静まり、ようやくパジャマからルームウェアへと着替えを済ませて自分の部屋を出た。
むわり、せっかく涼しさを手に入れたというのに落ち着いたかと思えばドア一枚を開いただけで暑さが襲い来る。
それでも先に進まなければ何も出来ないので顔を顰めるだけに留めて仕方なく廊下に足を下ろした。