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【黒バス】幼馴染み。【赤司】

第4章 04


 カーテンで締め切ったはずの窓から漏れる陽光に、閉じていた重い瞼を薄く開く。
聞こえてきた生命活動に励む蝉の声が喧しく感じて喉を唸らせて、それでも寝汚い私は寝返りを打って開いたばかりの瞼をきつく閉じ、再び寝る体勢へと直った。
じんわり、肌を汗が覆っていく感覚に眉間を寄せる。
寝ている間に室内が熱に支配され始めていたらしい。

 暑い。
思ってもベッドの中から出ようとは思えずに一層強く瞼を瞑った。
私は寝たい。その一心で未だ夢心地だった脳を夢へと引き返すべく試みるも現実は無情なり。
先刻よりも暑さが増していく気がして寝苦しさが二度寝を拒む。
おまけに鳴き続けている蝉の声がより騒がしくなっていく気さえした。

 じりじり、蝕んでいく暑さと、みんみん、忙しなく鳴く蝉。
ついにはカーテンの隙間から零れた陽光が瞼の奥で眩く光始める。
寝起きで朦朧としていた意識が引き戻されていく現実に抗い切れずに、仕方なく拒むようにして閉じていた瞼を開いた。

 窓の木漏れ日は遮っているというのに視界に入ってきた室内は明るい。
起きたてで直ぐには動く気にならず、緩慢に視線だけを時計に向けて現在時刻を確認した。
針は頂上を軽く超えている。道理で締め切られた室内が明るいはずだ。
まさか昼を過ぎているとは思っていなかった。

 時間を知ってしまうと仕方ないと思ってしまうのは何故だろう。
のそり、起き上がって漸くベッドから抜け出した。窓に歩み寄り先ずはカーテンを左右に展開する。
途端に普段の明るさを取り戻した自分の部屋に目を細めた。
突然の眩しさに思わず下ろした瞼の隙間から見える窓の外は、明るくなった室内よりも随分と光り輝いている。
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