• テキストサイズ

【黒バス】幼馴染み。【赤司】

第3章 03


 幼馴染みだから知っていて当然のこと。
赤司の話題を振られる度に言われるお馴染みの台詞だった。
何故知っていて当然と思うのか、当事者の私にはまるで分からない。
今まで過ごしてきた時間のおかげで食べ物の好き嫌いや好む服のデザインなんかは他より把握しているのだろうが、会わない間に趣味が変化している可能性もある。
彼の過去を知っているだけの私がたかが幼馴染みという関係にあるだけで全てを知っているなんて、口が裂けても言えない。
一人の人間を全て知るなど至近にいなければ不可能なことだ。
ただの幼馴染みという名目しか持たない私には知る由もない。

 いつも言っていることだけど。
前置きして口を開いた私は未だにクラスメイトと視線を合わせることがなかった。
窓際に席がある私は良く眺められる外へと目を向けたまま動かさない。
くだらない。個人的に一蹴している噂に動く気などなれなかった表れだった。

「幼馴染みなんて、たいしたものじゃないって」
「言ってたけど…」

 口籠るクラスメイトは、それでも不満が解消されないらしい。
私の周りに集う女生徒は、幼馴染みという関係性に夢を見すぎだろう。
こんな関係であっても特別という肩書きが欲しいというのなら今直ぐにくれてやりたい。
何せ私は欲していないのだから喜んで差し出そう。
/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp