第3章 03
大体が私に幼馴染みの成績を報告する意味が分からない。
順位表が張り出される度に知らされても反応に困るだけだった。
流石だな、と思うだけでそれ以上の感想は生まれない。
努力していることを知っているので素直に努力を尊敬もする。
皆もそうであれば本人に直接伝えるべきだと思う。
私に言うことではないはずだ、と思うのは私だけなのだろうか。
試験結果はまだしも、皆が逐一私の元へ運んでくる幼馴染みの噂は知らないものばかりだった。
最近のプライベートなんて顔を合わせていないお互いが知らないもので、練習着に使用しているシャツだとか昼食の内容だとか、私が持ち得ない情報ばかりを確認してくる周囲の群れ。
真実を知りたいのであれば、それこそ本人に確認するべきだと思う度に零れそうになる溜息を飲み込んだ。
一位という順位を祝いたいのであれば赤司に告げれば良い。
彼にとって当たり前のことであっても努力あっての成績維持なのだし、褒め言葉を突き返すこともないだろう。
彼が喜ぶかは分からないけれど邪険にすることはないはずだ。
私に幼馴染みへの称賛を連ねて何になるというのか。
この状況が今年で三年目になる。嫌気が差しても無理はない。
机に頬杖をついて話し掛けてきたクラスメイトへ視線を投げることもなく、さも興味さなそうに相槌を打つだけに終えた。
毎回素っ気なく返しているので皆も慣れた態度のようで特に何を言うわけでもないが、一つだけ不満があるらしい。
「もう、さんってば。知らなかったの?」
適当な相槌に呆れを滲ませたクラスメイトの声。
不満そうに放たれた声が続ける言葉は、台詞として認識出来るほどお決まりのものとなっていた。
次いで私を責める言葉をつい身構える。
「幼馴染みなのに」