第6章 腐った世界
【未成年】
「サトシ、俺ってさ?そんな受けキャラ?」
「なに?‥‥いきなり」
営業時間が迫る頃
隣り合わせのロッカーでスーツに着替えながら
ヨレヨレのトレーナーのまま、煙草を吸ってるサトシに話し掛けた
この人って、年齢不詳だな…なんて内心思いつつ
私服姿なんて、高校生かよ(笑)
「う~ん。わかんねぇや」
「‥‥指名は殆ど、そっちだからさ」
「なにぃ?プライベートは違うんだ?」
クック…、と笑うサトシの言葉に
今さら、思った
俺の‥‥プライベート?
そっか、
数え切れないほどセックスしてきたのに
俺、 本気でシたことないんだ
「カズナリ?」
「‥‥ん?」
「身体、大丈夫?昨日のオッサン、ネチっこかったろ?」
「あ~、制服フェチの‥‥確かに」
ネクタイを締めて正装し、
準備を終えた俺に、 サトシがボソッと囁いた
「‥‥身体だけなら、まだいいよ。
だけど、気持ちが割り切れなくなったら辞めなよ」
「‥‥‥」
「自分を傷付けたいって時もね」
ふにゃっとした、見るからに穏やかなサトシが、
トレーナーを脱ぐと
綺麗な肌と、程よく筋肉が付いた身体が露わになる
シャツを羽織り、ネクタイを締める姿は
大人の男に映って
‥‥思わず目を奪われる
サトシの助言は 、
経験や胸に秘めた思いから出たものだろうけど
まだガキのクセに俺は
それを全て、わかった気でいた
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