第6章 腐った世界
【訪問者】
ー雅紀sideー
胸を埋める罪悪感
人の物に手を出してしまったような‥‥
誰かに監視されていて
すべてを知られてんじゃないかって
そして、 いつかそれをネタに、とんでもない要求をされんじゃないかって
1枚抜いたお札は
もう1枚、‥‥あと1枚と増え‥‥
仕方ないと思いつつ
もしかしたら、誰かいい人が助けてくれてんじゃないかって
都合良すぎる解釈をしたりして‥‥
だけど、そんなワケないかって
いつもどこかで、ビクビクしてた
だから‥‥ その日もバイトに行こうと
駐輪場に向かってる俺を、
いきなり誰かが呼ぶから
‥‥低い男の人の声だ
ビクッと肩を震わせた俺が、恐る恐る振り返ると
そこにいたのは
思いも寄らない人だった
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