第6章 腐った世界
【危険信号】
ー雅紀sideー
(まただ‥‥)
新聞配達が終わって帰ってくるのは、朝6時過ぎた頃
曜日に寄って、多少時間は前後するけど
数時間前に出掛ける時は、もちろんなかった
茶封筒を拾い、
ゆうが起きた気配がして、慌てて上着のポケットに押し込む
こんな出所のわからない怪しいお金
絶対使っちゃいけない
わかってるのに
ゆうが教材費未納の手紙を隠してんのを見つけて‥‥
アイツ1人で、
どうする気だったんだよって堪らなくなって
ダメだって、手ぇ出しちゃダメなんだって
だけど、どうしようもなくて
後でキチンと戻せばいいって、自分に納得させて
茶封筒の金を抜いた
「雅兄‥‥」
「バーカ、お前は心配すんなっつったろ」
危険信号が点滅してる
決して触れてはいけないモノに触れたような
お金を受け取ったゆうが、申し訳無さそうな顔をしてて
だけど、
何かあったら、俺が守ればいいんだって‥‥
だから大丈夫
ゆうの頭をグシャグシャ撫でて、
必死に笑った
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