第6章 腐った世界
【楽しい?昼休み】
「ニノーー!」
「なんだよ。お前は声でけぇんだよ」
「この前さぁ~、ゆうの勉強見てくれたじゃん?」
「ああ?」
「ゆう、すげー喜んでた」
「そりゃ良かった」
「でね~♪これお礼!」
雅紀が、満面の笑みで渡してくれた包みを受け取りそれを開く
「‥‥なんだよ」
「節約がてら作ったの。雅紀特製スペシャル手作り弁当!」
「なんか無駄になげーネーミングだな(笑)」
得意のまん丸おにぎりと焼き鮭
焦げた卵焼き
すげぇシンプル
いや。コイツらしいけど
「ウマいから食べてみてって♪」
「まじかよ‥‥」
箸で卵焼きを突っついて、口に放り込む
「う~ん…お前、やっぱ塩加減オカシイって」
思ったよか、マシだけどな‥‥
「あれ?今日は弁当持って来たの?」
「しょーちゃん!」
俺らより遅れて来た櫻井に、雅紀が満面の笑顔を向ける
そして、俺に渡した黄色いハンカチと色違いの、赤い包みを取り出した
「これ。しょーちゃんの分ね!この前、奢ってくれたでしょ?」
「え?…コレ、雅紀が作ったの?凄いじゃん」
なんだよ
櫻井のも作ってたのかよ
俺の真ん前で、包みを開き、卵焼きを一口食べる櫻井
「ウマい!…うん、うまいわコレ」
マジで言ってんの?
しょっぱいじゃん
「ホント?ありがと。しょーちゃん」
「ありがとうは俺じゃね?(笑)」
なんか、‥‥なんだ?
「ニノもオイシイ?」
『ほめてほめて』って、
欲しがるコイツの顔が すっげー、ムカつく
「やっぱ、クソマジイよ。なに調子乗ってんだよ!」
櫻井が褒めるしさ
ウマいなんて言えっか
「ニノ、ヒドい~」
大体、ヤローが作った弁当なんて、気持ちワリィだろうが
心ん中でブツブツ言う俺に、
櫻井の笑い声が聞こえて顔を上げた
「二宮君、完食だね(笑)」
「‥‥‥」
「ニノぉ~♡」
「腹減ってただけだよっ」
あーっ!胸クソ悪ぃわ!
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