第4章 そして僕等は堕ちてゆく
【まさかのふたりきり 2】
「二宮くんと雅紀は、クラスも違うのに仲いいんだね」
「……」
「でしょ?中学からのツレでもないし、
1年の時もクラス違ったって雅紀が言ってたから」
「‥‥って、どーでもいいでしょ?そんな話」
「まぁ、そうなんだけどね?アイツとタイプが違うから意外でさ」
黙って聞きながら、
大口でパンを食べてしまうと、ゴミを丸めて袋に突っ込んだ
「じゃ、1つ聞いていい?」
「俺に?」
驚きながら頷いた櫻井に、素朴な疑問を投げかけた
「アンタ先輩だろ?‥‥なんで“しょーちゃん”なワケ?」
最初から不思議だった
普通『しょーちゃんしょーちゃん』って、先輩に言わないだろ
「ああ‥‥そんなこと?」
クスクス笑いながら、
櫻井が口元をハンカチで拭い
俺の目をジッと見る
「雅紀と俺、
中学ん時付き合ってたから」
「へ?」
思いも寄らない言葉に
生唾を飲み込み、
俺は‥‥静止してしまった
「え‥‥ちょっ、
二宮くん!‥‥冗談なんだけど?」
俺が思いっきり引いたと思ったらしく櫻井が慌てて言い直す
「ゴメンゴメン(笑)‥‥最初はね?櫻井先輩だったよ」
「‥‥‥」
「それが、いつの間にかしょーちゃん先輩になってさ?」
「‥‥‥」
「気付いたらしょーちゃんって呼ばれてた(笑)」
まぁ、アイツらしいっつか‥‥
「雅紀らしいけどね?」
同じ事を思うだけでムッとする
「‥‥でもまさか、あんなリアクション取られるなんて‥‥焦ったよ」
「‥‥まぁ」
よくよく考えたら、そんな可能性ねぇのにな
童貞だし、花屋の女に初恋だって言ってたし‥‥
「大体、雅紀は男でしょ。‥‥有り得ないって」
櫻井は、そう言って笑ったけど
その言葉に引っかかった
そうか、俺って、普通じゃないんだな
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