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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第3章 汚ねぇ大人になるように


【negai】








「‥‥そう。‥‥ん、わりぃ」




ベッドに丸くなり、
雅紀に断りの電話を入れた

青く光ったディスプレイが、消え‥‥


部屋の中はまた、闇のように色を無くす







カーテンの奥に覗く夜と 変わらないこの部屋は

光など宿してはならなかったのに‥‥





アイツの存在が‥‥
確実に何かを壊そうとしていて‥‥


それは、
俺を人間らしくする事と引き換えに‥‥



生きる術を
今までの俺自身を否定するもので‥‥





泣いたのなんて、

記憶にあるのは

あの日以来









ケータイが、
急に鳴り出す


無視してんのに‥‥
空気が読めない、無駄に長い呼び出し音


そっと開くと
思った名前が表示されてる










込み上げるのは



溢れる想い



通話状態のまま


それを投げ捨て、


ベッドを飛び出した








ただ 、俺は……





取り憑かれたように、
オートロックを解除し



合図を待つ





『ピーンポーン‥‥』と、
響くインターホンを掻き消し、 勢いよくドアを開けた








「ニノ!‥‥母ちゃんがさ、持ってけって!」



風呂敷包みを持ち上げて

お前は、笑う





「すげー、チャリこいだからさ、俺汗だく(笑)」





笑う






「ニノ?」






玄関先で、崩れるように雅紀に縋りついた





「えっ!ちょ、大丈夫っ!」







大丈夫‥‥?

大丈夫じゃないよ俺






ホントは今すぐ

お前に会いたかったんだ







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