第1章 終わりの始まり
【喰われるオトコ】
授業中の保健室は、格好の休憩所だ
授業が始まったら『体調が悪い』と手を上げ俯き加減に口を開く
如何にも虚弱に見える体格
色素の薄い肌
誰もサボリだなんて疑いもしない
成績さえ良ければ、大人はそれで評価してくれる
教師の声を後に廊下を進み、
目的場所の扉に手を掛けて、躊躇なく中に入った
石油ストーブの匂いと、生暖かい空気が体を纏う
「………」
人が居た気配はあるけど、今は誰もいないらしい
一息つくと、2つ並んだ窓際にある奥のベッドに横になった
埃っぽい毛布を頭まで被って、目を伏せた時
静寂を打ち消す、無駄に高い声が響く
そっと開けられたドアの割に‥‥
見なくとも事態が想像出来る 甘い声
『ね?興味あるでしょ?
ふふっ、緊張してる?いいのよ触ってみても』
また、か?
‥‥にしても、男側は反応なし?
自然と聞き耳を立ててると
『そ、そんなのっ‥‥ダメだって俺っ‥‥』
『そんなこと言って、ホラ準備出来てるじゃない♪』
『ちがっ‥‥、』
喰われンの?
ククク、と思わず吹き出しそうになったけど
バサリとベッドに押し倒された男が(状況的にね)
俺のいるベッドの仕切りカーテンを、思い切り引っ張った
ガタガタと大きな音を立て‥‥
レールから切り離されたカーテンの向こうには
押し倒された学生服の男と
予想通り『美少年好み』だと有名のケバい保健医の姿が確認出来た
俺はとりあえず
口角を上げ、ふたりに笑った
その時のマヌケ面
いつ思い出しても笑えるよ?
な‥‥雅紀?
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