第12章 真昼の月 真夜中の太陽
【モンタージュ】
ーニノsideー
「ねぇ?俺、まじでそんな寝てたの?
全然、記憶ないよ!」
「当たり前だろ。あったら、とっくに退院してるわっ」
病室のベッドで、俺の剥いたリンゴを頬張りながら、雅紀が呟く
「ねぇね、ニノぉ、"うさぎさん"が良かった!俺!」
「あ~っ…うっせ」
無視して、DSを開く俺に……
まーだ何か言ってっけど……知るか
2ヶ月振りに意識を取り戻した雅紀は
医者が驚く程の回復力で
とりあえず、検査入院しているものの、近い内に退院出来そうだった
「ねぇねぇ、ニノ!……も~っ!それ止めてよ。俺、超退屈!」
………無視を徹しながら
内心、ため息
いやね?
そりゃ、暗~くされたとこで困るけどさ?
もうちょっと、病み上がりっぽく落ち着いてもいいんでないの……?
あれだけいろいろあってさ?
変に……間隔開いたっつーか……
俺は…どのテンションで向き合ったらイイワケ?
「俺、そろそろ帰るわ。…バイトあるし」
「えーっ!」
「仕方ねぇだろ。生活掛かってんだから」
「…う~、わかった……」
「退院したら、バイト先の飯食わしてやっから。
病院の飯、飽きただろ」
嬉しそうに頷く雅紀に見送られて……
病室を後にした
全然いいよ
別に、……うん
いいんだけどさ
あんまり"普通"過ぎて……
気持ちが通じ合えた事なんて、
アイツは忘れてんだろな
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