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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第12章 真昼の月 真夜中の太陽


【One more time,One more chance】





ー櫻井sideー





「……あ、」




受付で部屋を教えて貰い、入院病棟へ向かうと、

エレベーターを降りて直ぐに、会いに来た人物と鉢合った






クイッと顎で促され、病室の側にある休憩所に着いて行くと


自販機で買ったコーヒーを渡され、ソファーに並んで座った








「……落ち着いた?」




黙り込んだままの俺に、二宮が聞いてきた


その横顔をチラリと見て、『ああ…』と頷く







「そっか……」




向かい側にある窓の外には


雲一つない青空が広がっていた


真夏の日差しがジリジリと暑い


たくさん話す事はあるのに、上手く言葉が出て来ない







「ユウさんのさ…四十九日も無事終わったんだよな?」

「……ああ」

「あのさ?……お前が何を思ってるか知んねーけど。

俺はあの人に飼われてただけだよ。

それだけだ。……だから」


「………」


「ユウさんの息子はお前だけだよ。

……だから、お前を守ったんだろ?

勝手な憶測だけどね……違う?」








俺が、全てに終止符を打とうと覚悟を決めた日


自宅に父さんを呼び出し刺した後、二宮の部屋に向かった


そこで、二宮を殺して、自分も死ぬ気だった





結局、未遂に終わり


二宮の部屋で、事情聴取だと警察に連れられた俺は……


そこで父さんの死を知った






死因は、……自殺だった


握られたままの包丁での刺し傷が数カ所あった事と


スーツの内ポケットには、遺書が残されていたから








「俺もさ……たくさん間違ってきた分、

それを背負って生きようと思う」






二宮は、眩しそうに目を細め……


前髪を鬱陶しそうに横に流しながら、呟くように言った



俺も、頷いて……






「俺も……背負ってくよ。
父さんの分も」





真っ直ぐに空を眺めて応えた









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