第12章 真昼の月 真夜中の太陽
【君は僕に】
ー櫻井sideー
「雅紀……なぁ、……雅紀……」
二宮が雅紀を抱いたまま……
何度も何度も名前を呼ぶ
ボンヤリとそれを眺めながら、
二宮の想いが伝わる
雅紀を……どれだけ大事かわかる
そして、雅紀自身も……
二宮を想うから、ここに来たんだ
最後まで、ふたりを追い詰めて……
それでも、絆は強くなるばかりで………
「結局、誰にも愛されなかったのは……俺だけだ」
思わずそう声が漏れた
到着した救急隊員に、状況を聞かれ……
何も言い出せない俺の代わりに二宮が話し出す
「ふざけてただけなんです。
俺ら動揺しちゃって…どうしたらいいかワケわかんなくなって…っ」
担架で運ばれる雅紀を見つめる俺に
雅紀に付き添った二宮は、投げ捨てるように言った
「雅紀の気持ち伝わったろ……
お前、それでもひとりだって言うの?」
ひとり残された部屋
雅紀の血の痕を眺めながら……途方に暮れる
二宮、わかってるよ。
アイツの気持ちが、例え愛情でないにしても
俺を大切に思ってくれてるってことくらい
そんなのとっくに気づいてた……
それでも俺はさ……
誰の一番にもなれない
ただ、
お前がずっと
………羨ましかった
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