第12章 真昼の月 真夜中の太陽
【真実】
「救急車…っ!」
叫んだ俺のシャツを雅紀が掴む
「……俺の、せいなの」
か細い雅紀の声
「な…に、言って……?」
「ふざけて…たらさ、間違って……刺さっちゃ……」
「ンなワケねーだろ!」
赤く染まった櫻井の手を見れば、安易に想像出来る
「櫻井っ!言えやッ!」
俯いた櫻井が
顔を上げ、俺に視線を合わす
「こうして……繰り返されんだ。
関係ないヤツまで巻き込んでさ……
でも、これでやっと終わる。……お前が来なきゃ…終われない……」
「櫻井……?」
「俺も、お前も……」
ブツブツと取り憑かれたような櫻井に飛びかかろうとすると
雅紀は、俺のシャツを掴んだまま、離そうとしない
「俺…っ、だいじょ…ぶ…だからっ…
自分でやったの。しょーちゃんは悪くないのっ…」
「何言ってんだ!櫻井のせいで……」
俺がそう叫ぶと、言葉に反応した櫻井が
感情を剥き出しにし睨んだ
「俺のせいだと?……元々は……
二宮、お前の勘違いから始まったんだろ」
「勘違い……だと?」
「お前は母親に捨てられたと思ってるけど、全てはそこから間違いだったんだよ」
「なに言って……?」
「お前の母親は、お前を守る為、
お前から離れ、オヤジの元に来たんだよ
オヤジの異常愛の犠牲になってお前を守ったんだ」
なんだ……それ
あの女が、俺を愛してる?
そんな出任せ……
そんなワケない……
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