第12章 真昼の月 真夜中の太陽
【夢の蕾】
ーニノsideー
"だからぁ!ダメだって!
焼きそばパンは俺のなの!"
"ケチケチすんなや"
"あーっ!勝手に食べたぁ!"
"ウルサイな。ホラ半分"
"……ありがと"
"いいえ。どう致しまして"
"…って、ねぇ!おかしくない?コレ"
"そう?"
「……っ」
なんだ‥‥これ
妙な違和感に目が覚めて
自分の顔に触れる
ハッキリと覚えてる
夢の中の雅紀は相変わらずで……
バカみたいに笑ってた
………なのに、
なんで、俺は泣いてんだ?
濡れた頬を腕で拭い
もうひとつの違和感に気付いて、体を起こす
「……雅紀?」
隣に雅紀の姿がなくて…
繋いでいたはずの手にも、
眠っていたベッドにも、
雅紀の温もりは残ってなかった
店から逃げ出して……
抱きしめあって眠ったのは……
すべて、……夢だったのか?
ゆっくりと立ち上がり、周りを見渡す
直ぐに気付いたのは…、
ローテーブルに置かれた俺のケータイ
そんなとこに置いた記憶もなくて、
手に取り……中を覗く
胸騒ぎがした
着信履歴に残る番号……アイツの番号
雅紀が着ていたはずのバスローブが床に落ち‥‥
代わりに、スーツがなくなってる
どこに行った!?
焦る気持ちを落ち着かせようと、
口元を抑え…必死で考えを巡らす
こんな夜中に、アイツからの電話
俺のケータイに掛かってきたのに、雅紀の姿がないって……
慌ててシャツを羽織り
ポケットに入れてたはずの鍵がないことに、その場所だと確信して
その場所に急いだ
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