第12章 真昼の月 真夜中の太陽
【僕らは静かに消えてゆく】
すぅーっと息を吸って…‥‥‥
ゆっくりと…‥吐いた‥‥
一瞬だけ閉じた目蓋の裏に‥‥
子供みたいな寝顔のニノが浮かんだ
泣きそうになるのを堪えて……笑顔を向ける
ちゃんと笑えてたかわからないけど……
きちんと伝わるように、
ゆっくりと、言葉にした
「しょーちゃん‥‥
ニノの居場所は教えらんない。
だけど代わりに‥‥俺じゃダメかなぁ?」
手を伸ばし、
触れたしょーちゃんの腕
辿るように……ナイフに触れ、
掴んだ刃の、無機質な冷たさを感じたと同時に‥‥
サクッと、
簡単に肌を切る感覚
「………ッ……」
次第に痛みと、ジリジリと迫るような熱さ
「まさ…‥き‥‥?」
ポタポタと滴る自分の血が
他人事みたいに見えた
ヤケに、スローモーションなんだな……なんて
「本気だよ。
しょーちゃんと俺はいるから。
だから…ニノは、もう……いいでしょ?」
しょーちゃんが掴んだままのナイフ
刃の部分を握ったまま、
自らそれを、
胸に当て、
……少しずつ刃先をずらし
力を込めてく
「………ンッ……ン……はっ、……」
黒いシャツに、
ジワジワと濡れたような染みが広がる
しょーちゃんの震えた手がナイフから離れ、
しっかりと俺の胸に刺さる
「わかって‥‥くれ、た?
俺、‥‥コレで、どこにもいけ…、ないよ…?
………ね」
目の前のしょーちゃんが、
ガクンと膝から崩れ……
瞳から溢れた涙が、
頬に一筋、流れたのが見えた。
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