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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第11章 世界にひとつだけの花


【契約】







"雇う側"と"雇われる側"


まさか、こんな再会があるなんてね





「ユウ、あなた何か良いことあったの?」





ネクタイを締める僕の後ろで、

鏡越しに妻が笑う





「どうして?何にもないけど」

「そうかしら。何だか機嫌いいもの。ね~?翔」





胸に抱いた翔に、返事なんかするわけもないのに話しかけて…


そんな微笑ましい光景が、幸せの象徴のような気がして、胸が暖かくなる






週7日は出勤
時間帯もほとんどフルで入ってる

僕には言わなかったけど、他の従業員の話じゃ、昼間も仕事してるみたいだし

こんなにお金に困ってるだなんて、
優しい小百合姉ちゃんは、叔父さんにも相談出来なかったんだろうな

施設の経営だって、ラクじゃないの、誰より知ってる





煌びやかな赤いドレスを纏い、
露出した白い肌と曲線が、目に焼き付く


不意に蘇る、あの時の出来事


唇の柔らかさと
寄せた身体の感触を思い出して





悪魔のような考えが浮かんだ


いや、もしかしたら
彼女にとってもいい話かも知れない


毎日、下心丸出しの禿げたオッサンのお酌するよりかはさ……





「あの…お話って何ですか?」




事務所のドアがノックされ、あなたが僕の前に立つ





そして、


机の上に、小切手を、滑らせた






「これは…どういう?」





ほんの出来心か


どうしてなのかわからない


ただ、僕は


芽生えた衝動を抑えきれなかったんだ





「初恋だったからね。あなたは……

助けてあげたいなって。

でも…なんの見返りもナシなんて有り得ないよね」






クスクス笑う僕の視界に、

背中を向けたあなた





ドアの鍵を掛けると


そのまま、肩紐を下げ…ファスナーを下ろし、


僕に振り返った






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